(前からの続き)
救急車が到着して温泉の中に救急隊が
台車を運び入れてからほどなくして、
台車に乗せられた父親が温泉の出口に姿を現した。
普通、救急隊員に運ばれるそうした患者というのは、
完全に横たわっていて、場合によっては
酸素ボンベなどを装着される危険な状況かもしれないが、
父親は上半身を起こした形で意識もハッキリ。
男子風呂なので、それまで外で待機していた母親も、
その姿に少し安堵したのか、小声で「バーカ」と
弱った患者にムチ打った(笑)
というのも、父親は自分を過信する傾向があって、
この日もアルコールを飲んだ後に風呂に行き、
さらには岩盤浴にまで挑んでいたというのだから、
母親からしてみれば、「だから言わんこっちゃないよ!」
といったところだったのであろう。
これが意識不明にでもなっていれば、
深刻度が増してまた違う対応であったろうが、
出口から出てきた父親は、見た目は普通だったからね。
母親としても憎まれ口を叩きたくなったのであろう。
とはいえ今でこそ冷静に文章を書いているけれども、
その時は父親自身、何故そういう状況に陥ったのか
分かっておらず、頭を強打した可能性もあるというので、
不安がなかったわけではない。
母親だって強がってはいても不安だったように思う。
近くの救急病院に搬送され、1時間ほどして
処置室から出てきた父親は車いすの人になっていた。
傷口を4針ほど縫ったとのことだ。
75歳ながらも普段から健脚を誇り、
負けず嫌いでプライドも高い父親が、
救急ベッドや車いすに乗り、しかも頭には
包帯とネットのようなものを被っている姿なんてのは、
正直あまり見たいもんではなかったが、
それでもそのままホテルに帰宅許可が出たので、
まぁ不幸中の幸いだったのかなと。
本来は18時から予定されていたディナーは
19時半からスタートとなったが、母親は食欲を失ってしまい、
父親も食事は出来ずに部屋のベッドで待機。
代わりに息子たちが父親の分と
母親の半分くらい残した分を平らげる格好に。
俺は不思議とそこまで心配はせず、
というか心配してもどうにならんことは
心配しないようにしているので、
とりあえずその場では絶品料理に舌鼓をうった。
(そして食い過ぎた)
しかし、アルコールを摂取しての岩盤浴は自殺行為だわ。
岩盤浴マスター(なんせ家にも岩盤浴があるんだからね)の
俺が同行してりゃ、水分摂取の重要性を切々と説いたであろうに、
そういうところには気が回らなかったのであろうなぁ。
結局、自業自得なんだが、これで少しは過信も治まるだろうし、
今後は酒飲んだ後の風呂には気を付けてくれるだろう。
痛い思いをしただろうけどこの経験を糧にしていただきたい。
それと、その日は日中に父親と言い合いみたいなことがあったが、
そんなことがあってからのこの事象、出来事に偶然はないというので、
何かしらを伝えられたのかなぁという気もしている。
もっと親を大切にしなさいよとかね。
そんなこんなで違う意味でも
非常に印象深い熊本への旅路となったのだが、
最終日は道の駅や母親の生まれ育った家の近くなどに行ってきた。
前日までは父親もちょっと朦朧としていたので、
母親としては、「もう生家なんてどうでもいいから早く帰ろう」
とちょっと怒り気味だったのだが、翌日になって
父親の様子がだいぶ良くなっていたので、
結局、生家の方まで足を延ばした。
しかし、50年以上前のことなので、
もはや地域に当時の面影はなく、
自分の家がないのはもちろんのこと、
どの辺だったかもよう分からんといった状況で、
とりあえず自分の通った中学校だけを見つけて満足、
そんな顛末で終わった金婚式旅行なのであった。
帰宅後、カムイが元気なことは
前日の友人のシッター情報により分かっていた。

旅行もいいけど、やっぱり俺にはカムイだよ。
大切な家族だよ。

しゃべれない分、煩わしい言い争いもないしね(笑)

そして、実家の文鳥のことも気になっていたので、
すぐに母親にLINEで、「ぴーすけどう?」と送ったのだが、
既読になっているのに全く返信がない。
これはもしや何かあった…とドキドキしてしまった。
父親には申し訳ないが、父親が倒れたと聞いた時と
同じくらいドキドキした。
もしぴーすけに何かあったら怪我をした父親ですら責めてしまいそう。
「だから餌と水はあれだけ多目にやってと言ったじゃん!」と。
でも、そこは冷静になって、もしもの事態であっても、
昨日倒れたばかりの父親を責めるのはやめておこう。
半ば勝手にぴーすけに何かあった時を想定していたら、
30分ぐらいしてからようやくLINEに返事があり、
「ぴーすけ元気だよ」だって。返事遅いよ…


父親は抜糸もこれからだと思うし、
一ヶ月以内は血腫が出来るケースもあるとかで、
まだ完全に安心していいのか分からないけど、
さっきもいったけどいろいろ考えても仕方ないので、
ま、大丈夫でしょと楽観的に考えている。
そしてカムイもぴーすけも無事で
とりあえず家族も無事に帰宅できたので、
なんだかんだでいい記念になったなと思う。
でも、今後の旅行はやっぱり一人か気のあう仲間とだなと。
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県外に行く用事があり数日間、ほとんどブログにお邪魔できなかったので、帰って来てからゆっくり読ませて頂きました。
家族旅行はどこも似たりよったりじゃないでしょうか。
ちょっとしたことで意見が衝突したり、自分はこうしたいのに残りの者がちっとも乗り気にならなかったり、あれもこれもと予定していても疲れた、もういいよとなったり、、、。
他人だと気を遣うけど家族だと気を許すから余計に不平不満を言ってしまうんでしょうね。
うちは私と娘だけならいつも順調に進みますが主人が加わるとうまく行かなくなることが多いので結構気を遣います。
熊本城いいですね。一度は見てみたいです。
普段、同年の人に比べて元気で健脚を誇ってはいても70代以上となるとやっぱり歩くのは大変でしょう。
お母様、お疲れになったと思います。
店員の態度が悪い、教育のなってない店は絶対に許せません。一人の態度だけならたまたまその子が世間知らずなのかと思うけど、3人も態度がなってないんじゃ店長以下みんなだめでしょう。そんな店行きたくないわぁ。
イルカは見たいです。でも、私は船酔いするし海が怖いです。(海を見るのは好きですが、泳げないので何かあったらと思うと水が怖いです)
ホエールウォッチングをする人達もいるけど、間近で鯨を見たら恐怖で顔がひきつってしまうかも。鯨は好きなんですけどね。
訪ねた先で美味しいものを食べたいのに「その店はたいしたことない」って地元の人に言われると苦笑しちゃいますね。
正直でいいけど。
私もせっかく県外に行ったのに結局全国チェーンのファミレスみたいなところしか行きませんでした。
その後、お父様はいかがでしょうか。
深刻な事態にならなくて本当に良かったですね。
カムイ君、ぴーすけ君が無事だったことが本当に嬉しいです。お友達にも感謝ですね。
カムイ君のとろけるような表情がたまりません。maruoさんが帰って来て嬉しかったでしょうね。
うちの子は、私の留守中、主人が面倒をみてくれていましたが、帰宅したらウニャウニャ言いながら2階から駆け下りて来ました。やっぱり寂しかったのかな。
また、どこかに旅することがあったらレポートをお願いします。楽しみにしています。
- 2015/12/12(Sat) 21:47:35 |
- URL |
- 花まつり #-
- [ 編集 ]
は~よかった。
それぐらいで済んで。。。
本当に大変というか、予想外の事件というか、
ふつうなら子供が大変!ってなことなのに、自分が大人になれば、
親が大変!ってことになる訳ですね。
うちの父もむかし母と行った草津温泉で
カランをひねったお湯のことだったか、どういうことだったか
もう忘れたのですが、火傷をして、母は同情どころか、
不注意というか失態で、目配せの呆れたビームを出して
いたのを思い出した次第です。
こういう場合、不思議と、大抵、男親が問題を起こすんですね~~~
酒も然り。
お父様には気の毒なことでしたが、その事件、今後のよい
教訓になったと想像するのです。
まさかの出来事を想像だにしませんでした。
やれやれ、ホッとカムイに落ち着きましたね。。。
すんごいモフモフ度と、最後はお決まりの人面猫風!!!”www
- 2015/12/13(Sun) 01:29:22 |
- URL |
- 猫御崎 恵 #ZAILHwbY
- [ 編集 ]
家族でのお出掛けで良かったですね
お母様だけでは心配ですもの‥‥‥
何かのお話のような出来事が現実に旅先で起きるなんて 大事にならなくて良かった
カムイさんもぴーすけ君も元気にお留守番できたみたいで一安心
- 2015/12/14(Mon) 00:16:14 |
- URL |
- きのみ #-
- [ 編集 ]
maruoさんが一緒でお母様も
心強かったでしょう。
我が家でも何年か前旅先で
母が湯あたりして救急車騒ぎになったのを
思い出しました。
でも、親がいなけりゃ親孝行もできないし。
今のうちですよ!
たくさん親孝行してくださいね!
お疲れ様でした。
(カムイさん、うさぎさん、ぴーすけさんも留守番お疲れ様)
- 2015/12/14(Mon) 13:19:12 |
- URL |
- 馬子おばさん #luqF8lUM
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